ばあちゃんシリーズ1 〜俺とお前と〜
お疲れ様です。
小林です。
小林の大好きなばあちゃんの話をします。
2011年3月11日、東日本大震災。
東京も断水を恐れた人たちが水を確保しようとした結果、コンビニから水が消えました。
小林家も水の確保に奔走、しかしどのコンビニにもどのスーパーにも売っていない。
諦めかけたその時でした、ばあちゃんが言いました。
「あたし、知ってるよ。」
ばあちゃんは自信に満ちた表情を浮かべながら、手押し車を押して出掛けていきました。
「ばあちゃんの行動範囲内はすべて調べたはず。まぁいいか、ばあちゃんの気の済むように探させてあげよう。」
そう思った我々は、ばあちゃんの帰りを待ちました。
そしてしばらくすると...
「ガラガラ...ガラガラ...ガラガラ...」
ばあちゃんが帰ってきました。
それも誇らしげな表情を浮かべて。
手元の手押し車の中身は膨らんでいる...
「ま、まさか...俺たちの知らないネットワークでばあちゃんは水を買ってきたのか...?」
誰もがばあちゃんの知恵袋の広さを実感した瞬間でした。
「あんたたち、ちゃんと調べてないんだよ。ほら。」
そうして手押し車の中身を開けるとそこには...
大五郎
主にアル中一歩手前、むしろ一歩踏み込んでしまった中年男性がお水代わりに飲む事でお馴染みの大五郎。
唖然とする我々。
ばあちゃん、まだ気づいていない。
思わず母が
「ばあちゃん、言いづらいけど...それ、焼酎。」
そんな訳が!と思ったばあちゃんはメガネをつけてパッケージを確認。
「焼酎甲類」の文字が見えたのでしょう、
さっきまでの誇らしいばあちゃんはどこへやら、
無言で背中を丸めながらトボトボと部屋へ入って行きました。
※大五郎はその後、父親の相棒として約1週間活躍しました。