シロクマと少年〜旭山動物園にて〜
お疲れ様です。
小林です。
旅のテンションもあるのでしょうが、
小林は想像以上に楽しんでいました。
「なにかお土産を買いたいな...だけどバイクだとかさばる物は買えないな....」
そんな小林の視界に触れたのが
ガチャガチャ。
これならちょうどいい。
よし、回すか。ガチャガチャ。
出たのはシロクマ。
特になんの動物に思い入れもない小林は、
それをポケットに入れて帰ろうとしました。
すると後ろに立っていた少年の声が。
「シロクマが出れば全部出るのに...お母さんからこれ以上お金を頂くことも出来ないし、あと1回で出る気はするのに...困った...。」
劇団員のような演技っぽいセリフを発する少年。
小林がシロクマを出したことに気づいているのでしょうか。
別にシロクマはあげてもいい位の思い入れしかありません。
どうしようか悩んでいると
「もう帰るよ!」と少年のお母さんの声。
「はい...今行きます...。」
少年はガチャガチャに背を向けて
トボトボと歩き出しました。
ここでシロクマを少年に渡さないと、
少年は一生シロクマと出会う機会がない
そんな気がした小林は声を掛けました。
「あの〜」
子「は、はい!」
「良かったら、今シロクマが出たんだけど、
これあげましょうか?」
子「えっ!!......お母さん!お母さん!」
母「どうしたのよ〜」
子「(小林に手のひらを向けながら)こちらの方が...!シロクマを譲ってくださるそうです!」
母「えぇ〜、いいんですか〜?」
「いやぁちょうど出たんで、良かったらどうぞ」
子「シロクマ...!」
「そんなに出なかったの?」
子「はい、かれこれ3000円分は使わせて頂いたのですが...出ずに...」
「(課金しすぎだろ)良かったですね、はいどうぞ」
子「....!!!ぜひ...お礼させてください!」
「じゃあ同じガチャガチャを1回分でいいよ〜」
子「お母さん!こちらの方にガチャガチャをお願いします!」
ガチャガチャに100円玉を詰めるお母さん。
ゴロンゴロン。
「ありがとね。良かったね。」
子「はい!!この度は....ありがとうございました!!」
少年は深々と礼をしてお母さんと帰って行きました。
親切をすると気分が良いものです。
そうだ、あのガチャガチャは何が入っていたんだろう。
カポッ
結局お前かい。
小林